「スタンプを送るだけで○○円」「動画のスクリーンショットを撮って送るだけで稼げる」
SNS上などで見かけるこうした案内は、ほとんどの場合、タスク詐欺です。
このタスク詐欺に引っかかってしまうと、ご自分の口座が凍結されてしまうリスクがあることをご存じでしょうか。
本記事では、タスク詐欺で口座凍結される理由や対処法などご紹介します。
目次
タスク詐欺に遭うと口座凍結されるリスクがある
タスク詐欺に遭うと口座凍結されるリスクがあります。
ここでは、タスク詐欺による口座凍結について、以下の通り解説します。
- そもそもタスク詐欺とは
- タスク詐欺で口座凍結される理由とは
- タスク詐欺に遭ったら返金される?
それぞれ見ていきましょう。
そもそもタスク詐欺とは
タスク詐欺とは、簡単にいうと、何らかの仕事の依頼を受け、その仕事の達成に失敗したペナルティなどとして高額な請求をされるという詐欺手法です。
タスク詐欺の手口について、2024年5月に報告された事例を紹介します。
- SNSで「動画SNSを見るだけで報酬を得られる」という広告に惹かれ、メッセージアプリ経由で申し込む
- 指示通りにタスクをこなし数百円を受け取ると「高額報酬のタスクがある」と、専用アプリの登録に誘導される
- 誘導されたアプリに登録すると、タスク受注費用として1万円を支払うよう指示される
- 費用支払い後、受注者複数人でチームになりタスクをこなす
タスク完了後、事前に支払った1万円に報酬を上乗せした1万数千円が振り込まれる - 再び受注費用を振り込みタスクを進めると「あなたのミスでチーム全員が損をした」と言われ、処理費用として15万円の支払いを求められる
- 指定された口座に15万円を振り込むと、さらなるタスク受注のため約40万円の追加振込を求められる
- 40万円を振込みタスクを完了させるも、報酬を引き出すためには約70万円が必要と言われ、ここでようやくおかしいことに気付く
参考:独立行政法人国民生活センター「スキマ時間に気軽に稼げる等とうたう副業トラブル!-簡単なタスクを行う副業でお金を払う??詐欺に騙されないで」
このように、はじめは簡単な仕事で利用者を囲い込み、その後受注費用やノルマ未達成の違約金などを謳って高額な金銭を要求するのがタスク詐欺の手口です。
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)の統計によると、タスク詐欺の被害件数は増えており、2020年の1,341件から、2023年には3,694件にまで増加しています。
また、被害者の中には500万円以上を騙し取られた人もいます。事態の深刻度がうかがえるでしょう。
(参考:Yahoo!ニュース「急増「タスク詐欺」の実態を被害者が克明に語る 「副業」で稼ぎたい心理を巧みに突くその手口」)
タスク詐欺で口座凍結される理由とは
タスク詐欺の被害に遭うと、自身の銀行口座が凍結されるおそれがあります。
口座凍結される理由は以下の2つです。
- 詐欺グループに違約金を「支払った」から
- 詐欺グループから報酬が「振り込まれた」から
詐欺グループに金銭を支払った場合、捜査のため警察から銀行に口座凍結の依頼が行くことがあります。
また、詐欺グループから報酬を受け取った場合も、詐欺に加担しているとみなされて口座を凍結されてしまうケースが少なくありません。
いずれにしても、タスク詐欺のグループに口座を登録してしまった時点で、自身の口座が利用できなくなるリスクが発生するのです。
タスク詐欺に遭ったら返金される?
タスク詐欺で騙し取られた金銭が返金される保証はありません。
被害に遭った際はまず警察や弁護士に相談が必要ですが、犯人の特定や詐欺被害に遭ったことの証明に時間がかかります。
さらに、振込先の口座名義人に返金を求める場合においても、詐欺グループが利用する銀行口座は口座売買などの不正な方法で入手したものが多いため、現実的に回収できないケースがほとんどです。
被害金額がすべて返金されることは極めて稀であると考えた方がよいでしょう。
タスク詐欺で口座凍結された場合の対処法
タスク詐欺で口座凍結された場合、どのように対処するとよいのでしょうか。
ここでは、以下の通り解説します。
- まずは弁護士に相談しよう
- 凍結された口座はすぐには解除されない可能性が高い
それぞれ見ていきましょう。
まずは弁護士に相談しよう
口座凍結された場合、弁護士や司法書士に依頼して口座の凍結解除を依頼することは可能です。
弁護士に口座の凍結解除を依頼する場合、一般的な相場で20万円程度の報酬を支払う必要があります。
凍結された口座はすぐには解除されない可能性が高い
口座が凍結された場合、タスク詐欺に遭ったことが分かっていても、すぐには凍結が解除されない可能性が高いです。
なお、弁護士や司法書士に依頼した場合、弁護士や司法書士が警察や金融機関に対して身の潔白を証明する書類を作成して提出することになります。
この場合、依頼から10日程度で口座の凍結が解除されるケースが多いようです。
タスク詐欺被害を防ぐためにできること
ここでは、タスク詐欺被害に遭わないためにできることを紹介します。
- キャッチ―な宣伝文句に注意する
- 運営者情報を確認する
- SNS経由の副業に注意する
順番に見ていきましょう。
キャッチ―な宣伝文句に注意する
「タップするだけで○○万円」「動画を見るだけで稼げる」といった、現実味のない宣伝文句を謳う副業案件には注意が必要です。
楽をして稼ぎたいと考えるのは、悪いことではありません。
しかし、そのような人ほど上手い話にのせられたり、受け身で物事を考えやすいことを詐欺グループはよく知っています。
金銭的な被害は防げても、詐欺グループ内で個人情報が流出する可能性があるため、極端に難易度の低い案件には関わらないようにしましょう。
運営者情報を確認する
副業案件を受ける際は、副業サイトの運営者やクライアントの情報を詳しく確認するようにしましょう。
通常であれば代表者の氏名や連絡先、オフィスの所在地などが開示されているはずです。
また、SNSやネット上での口コミを調べたり、副業仲間と情報を共有することも悪質な業者や詐欺グループを避ける手段になります。
実態の見えないクライアントとのやり取りは事件に巻き込まれるリスクがあると心得るのが得策です。
SNS経由の副業に注意する
SNS上に表示される広告は、広告主の信頼性が保証されているものとは限りません。
過去のタスク詐欺被害でも、SNSの広告が入り口となった事例が多いのが特徴です。
詐欺グループの中には海外を拠点としているものもあるため、そのようなグループの被害に遭うと、国内での捜査が難航する可能性もあります。
気軽にやり取りができるSNSだからこそ、副業選びは慎重に行うようにしましょう。
なお、タスク詐欺にあった場合の対処法については、別記事にて紹介しています。
あわせて参考にしてください。
タスク詐欺に関する口コミ・評判
ここでは、タスク詐欺に関する口コミと評判を紹介します。
- X(旧Twitter)の口コミ・評判
- Yahoo!知恵袋の口コミ・評判
それぞれ見ていきましょう。
X(旧Twitter)の口コミ・評判
X(旧Twitter)では、タスク詐欺の実例画像が投稿されていました。
キャッシュレスの普及に伴い、近年では現金ではなく、PayPayなどのコード決済や暗号資産(仮想通貨)を利用したものまであり、手口の多様化がうかがえます。
Yahoo!知恵袋の口コミ・評判
- 福利厚生タスクというものを行いました。
指定されたTikTokをスクショして送ると数百円の報酬が貰えて、2000円を超えると引き出し可能になる、
といったものです。
その他には3000円、5000円、10000円振り込めばプラスでお金が返ってきますというものでした。
そして1万円のタスクを行うとき私はミスをしてしまいました。すると5万円を要求されたので振込し、またタスクに挑戦しましたがまた失敗してしまったみたいでそこからどんどん金額が大きくなってきました。
今の時点で30万円振込してしまっていました。
そしてまた失敗をしてしまいました(慎重にタスクを行ったので絶対に失敗はしていないと思うのですが)
タスクをクリアして貯めていた10万円と振込してしまった30万円があるので次はきっと40万円振り込めと言われると思います。
どうすればいいですか?これはもう無視をしてやり取りしているアプリも消してしまって大丈夫ですか?
(後略) - それ副業じゃないから。
詐欺だから。
詐欺に取られたお金は返りません。
あきらめてください。
対応は、もう全て無視して、全てブロック。
以後は2度とやり取りしない。終わり。
ホイホイ信じてお金を取られる前に、ちゃんと疑って調べましょう。
事前に知恵袋で調べてれば、山ほど同じ質問があって引っ掛からなかったです。
引用元:Yahoo!知恵袋
Yahoo!知恵袋では実際にタスク詐欺の被害に遭った人からの相談が寄せられていました。
簡単なタスクで利用者を誘いこんだ後、無理なノルマやプレッシャーを与えて違約金を請求する常套手段です。
他人の事例として見ると信じられないようなことでも、いざ自分が当事者となると冷静な判断力を失うこともあります。
副業案件を選ぶ際は、クライアントの信頼性や作業の内容について詳しく確認するようにしましょう。
タスク詐欺による口座凍結に関するよくある質問
最後に、タスク詐欺による口座凍結に関するよくある質問をご紹介します。
口座凍結後に訴えられることがある?
タスク詐欺において、口座凍結されるケースとは、基本的に相手方に対してお金を支払ってしまった後となります。
一方、タスク詐欺において訴えられるケースとは、タスクに失敗してしまい、お金を請求されているものの支払わない場合に、相手方が「弁護士に相談する」などということが考えられるでしょう。
このため、タスク詐欺においては口座凍結後に訴えられる可能性は低いといえます。
なお、お金を請求された段階で相手方が「訴える」などということはあるかと思いますが、実際に訴えられる可能性は低いです。
口座凍結に関して弁護士には無料相談できる?
弁護士事務所にもよりますが、口座凍結のような詐欺によりお金を騙し取られたといったケースでは、調査の段階では無料で相談できることがあります。
こうした弁護士事務所では、実際に着手する段階で着手金を支払い、お金を取り返すのに成功した段階で成功報酬を支払うといった形が一般的です。
タスク詐欺に遭い不安を感じているという方は、まずは無料で相談できる弁護士に相談してみるのがおすすめです。
タスク詐欺で口座凍結した後に警察から連絡がくる?
タスク詐欺で口座凍結された場合、持ち主であるあなたが何らかの形で特殊詐欺を行っている団体とつながっていると見られてしまう可能性があります。
そのため、調査のために警察から連絡がくることもあるでしょう。
とはいえ、タスク詐欺といった詐欺が横行していることは警察側も知っているため、連絡がきた場合には落ち着いて状況を説明するとよいです。
タスク詐欺で口座凍結 まとめ
ここまで、タスク詐欺について口座凍結のリスクや対処法など詳しく紹介しました。
本来のタスク型副業(タスク型案件)は、れっきとした副業方式の一つで、スキマ時間を有効活用したい人や、小さく実績を積み重ねたい初心者の味方となるべき存在です。
しかし、残念なことに近年ではそのような人たちをターゲットにしたタスク詐欺が横行しています。
自分の身を守るためにも「スタンプを送るだけ」「動画を見るだけ」などの極端に容易な作業を求める案件には応募しないようにしましょう。